日時:2007年9月27日会場:東京・秋葉原 秋葉原コンベンションホール
事実上の大学全入時代を迎え、激しくなる一方の受験生獲得競争。少しでも多くの受験生・高校生に自分の大学のよさを知ってもらう。そのための広報戦略、なかでもWebサイトを使った広報の重要性がますます高まっています。しかしながら、アクセシビリティやユーザビリティへの意識が高まり、それらを考慮した設計がなされるようになった結果、どの大学のWebサイトも同じような方向に向かっていきました。逆にいうと、平準化され特色が出にくくなっています。独自性や優位性を訴えにくくなっているのです。 受験生の心に響くWebサイトはどのようにすれば構築できるのか――。 大学の価値を高める有効な広報の手法はないか――。 今回の「大学広報改革セミナー」では、2人の専門家をお招きし、これらの問題に迫っていきました(以下、セミナーの要旨を掲載します)。
大学プロデューサー 倉部史記 氏
Webは大学の真の姿を伝えるツール 「1年間に5万5000人。2.9%」。これは1年間の大学の退学者の数と、中途退学率だ(私立学校振興・共済事業団調べ。05年度)。中途退学という「大きな機会損失」は学生とのミスマッチから生じている。それを避けるためにも、大学はもっと本来の姿を伝える必要がある。そして、そのための有効なツールがWebであることを、Webマスターは自覚しなくてはいけない。
ミッションを定義づけよう 「退学リスクを抑える」は大学のWeb広報が避けて通れない課題であるが、こうした「ミッションを定義づける」(仕事術の1)作業をWebマスターは常に行わなければいけない。たとえば、退学リスクを抑えるためにも、オープンキャンパスにより強い関心をもった参加者を集めることが必要だと考えたとしよう。そこから、「事前に必ず目を通しておくべきページをつくる」といった発想が生まれてくる。参加者は減るだろうが、関心の強い高校生が集まり、次の年の春には、より“よい学生”が入学してくれるはずだ。
Webマスターが大学を変える もっとも、参加者の数を絞るといったことはWebマスター一人で決めることはできないし、他のセクションの人間の協力が不可欠だ。そこで「部署横断的なチームをつくる」(仕事術の2)。頭の固い人たちを、こちらに引き寄せるために、頼れる人間を外部につくることも必要になってくる。そのうえで「成果は必ず見直す」(仕事術の3)。見直すことによって、よりよい情報が発信できるようになるだろう。 いずれにしろ、Webマスターは、常に、どうやったら大学の価値を高めることができるかを考えなくてはいけない。Webマスターが役割をきちんと果たしていけば、大学の価値は向上していく、と考える。
株式会社サイトフォーディー 隈元章次 氏
RIAでユーザーの利便性は向上する ここ3年、大学のWebサイトにおいても情報構造設計が進んだことにより、どこも非常によいサイトになっている。3年前は質の面でかなりのデコボコがあったが、いまは平均化され、違いがなくなってきた。そこで、注目してもらいたいのがRIAだ。この新しいコミュニケーション・ツールを活用することで、付加価値を追求でき、他の大学のWebサイトと差をつけることも可能になる。 RIAとは「Rich Internet Application」の略で「Webアプリケーションのメリットを活かしたまま操作性や表現力を向上させたアプリケーション」と訳すことができる。そのRIAを代表する技術が、Adobe AIRである。Adobe AIRは、パソコンのデスクトップ上で実行することが可能なWebアプリケーションだ。Webブラウザとデスクトップアプリケーションの両方の強みを利用することができる。Adobe AIRを活用すれば、ユーザーの利便性は格段に向上する。初心者でもわかりやすい操作性で、若い人に注目されることは間違いない。また、開発コストや導入コストを抑制できるというメリットもある。今後、いろいろなWebサイトに導入されていくはずだ。ちなみに、アートスタッフが現在、開発を進めている「CampusEOS ver2.0」はAdobe AIRを活用している。
OB・OGの囲い込みにも使える また、ウィジェット(ガジェット)というパソコンのデスクトップ上で動作する小さなソフトウエアにも活用でき、たとえば自分の大学の名前の入ったウィジェットの時計、カレンダー、計算機をつくることは簡単だ。受験生獲得だけでなく、OB・OGの囲い込みなど活用の仕方はいくらでもある。一種の飛び道具で、先にきちんとサイトを築いておくことは必要だが、3年で大学のWebサイトが大いに進化したことを考えれば、今後の差別かのためにしっかりと研究しておいたほうがよいだろう。
大学プロデューサー 倉部史記 氏 株式会社サイトフォーディー 隈元章次 氏 (司会)弊社ゼネラルプロデューサー 山下準吾